「岸駒の虎」と称されるほど虎を得意とした岸駒。荒々しく鋭い眼光や、威風堂々とした佇まい…今にも唸り声が聞こえてきそうなほどの迫力ある描写は、当時においても特異な作風であったと言われています。
この時代、虎は想像で描かれるのが一般的でしたが、岸駒は中国の商人より虎の頭蓋骨を手に入れ、虎の皮を被せて写生に励んだと云われています。
虎が水を飲む画は割とありますが、こちらの虎の表情には得も言われぬ迫力を感じさせます。「岸駒の虎」と称されるほどの虎画名手であった岸駒、29歳時の作品です。
墨のみで描き出された質感が秀逸で、虎の見事な存在感と迫力をたたえています。
京劇の演目としても知られる中国の故事「周処除三害」を元に、後に西晋の武将になる周処が南山の白額虎を仕留める情景を描いています。虎画の名手、岸駒による作品。