たっぷりと水を含ませた薄墨で大胆に形を取り、そののち濃い墨を載せたのでしょうか。雁が降り立つまさにその時を、短時間で勢いよく捉えた感じがうかがえます。
水面の傍で憩う雁の群れの、にぎやかな情景が描かれた作品です。
日本へ訪れる燕と交代するように、北国へ旅立つ雁。春を象徴する光景です。
ユーモラスな雁の表情によって和やかな気持ちになる一幅です。
「雁帰る」という季語にもあるように、まるで春を象徴したかのような、華やかで瑞々しく、活き活きとした生命力を感じさせる一幅です。