各自が得意分野を描いたのかは不明ですが、それぞれの筆遣いに味わいがあり、見ていて楽しい干支図です。
神道に於いて神の使いとされる鹿と、木に吊るされた神鏡を描いた山水図は、そこが聖域であり、神聖で澄んだ空気を纏っていることを窺わせます。
南画と大和絵を融合させ、独自の画風を確立した高久隆古による作品。
円山応挙の高弟の駒井源琦による兎図は、シンプルな筆ながらも兎の特徴をよくつかんでいます。
紅梅のとなりで翼をひろげて鳴く丹頂鶴。
陶板に色漆で描かれた珍品です。
見どころにあふれた芦雪の優品です。
動物画を好んで描いた長沢芦雪の雀図。あたたかな眼差しが感じられます。
流れる様な筆致で描かれた藤の花。下には二羽の雀が佇んでいます。『故由比濱松濤氏所蔵品入札目録』(大正十三年三月)所載。
芦雪作品には時折絶妙な構図の作品が登場します。こちらは手前の余白部分に亀がきゅっと収まっており、少し不思議な構図を作り出しています。描こうとするものがはみ出そうになれば、そのまま気にせず画面に押し込んで描き切ってしまう。そうした所に芦雪の既成概念に囚われない自由さと、伸び伸びと描くことを楽しんでいる様が映し出されているかのようです。