各自が得意分野を描いたのかは不明ですが、それぞれの筆遣いに味わいがあり、見ていて楽しい干支図です。
神道に於いて神の使いとされる鹿と、木に吊るされた神鏡を描いた山水図は、そこが聖域であり、神聖で澄んだ空気を纏っていることを窺わせます。
五節句にちなんだ素材で、それとなく秘め事を表現した五幅対です。
月明りに照らされる梧桐と紫薇(サルスベリ)。よく見るとその枝で羽根を休める二羽の鳥がいます。夏の夜の湿度まで感じさせる作品です。明治28年幽谷70歳の作。
潔く水墨で描かれた梅の枝に、可愛らしく佇む一羽の雀。モチーフの対比が絶妙です。歴史画を得意とした容斎の花鳥画です。
見世物興行での光景でしょうか。潔いほどに象のみを中心に据えており、画家の興奮が伝わります。江戸時代末期の絵師・西山芳園の弟子、菅其翠による作品。
幕末から明治にかけての狩野派の絵師、狩野貴信は伊川院の元で学び、江戸幕府の御用絵師として江戸城の障壁画を手掛けました。鯉の精密さに比べ、水飛沫の表現が文様的かつユニークです。
楚々と佇む一本の菊と、そこに今舞い降りんばかりの一羽の蝶。狩野芳崖門下の日本画家、本多天城の箱書有。
はらはらと散り始めた桜を描いた色紙サイズの作品です。儚げで楚々とした佇まいが素敵です。
焼けるような朝焼けと、迫力のある老松が印象的な大幅です。
積雪がもたらす静寂の空間に、雀の羽ばたき音が聞こえてくるようです。嘉永5年柳塘11歳の作。
独特な構図と虎の表情は、見れば見るほど魅了されます。
奈良時代に武甕槌命が御蓋山(春日山)の山頂に降り立った際、白鹿に乗ってやってきたという神話がありますが、こちらの鹿のゆったりした佇まいにはどこか悠久の時を感じさせ、まるで神鹿のようでもあります。
ユーモラスでほのぼのとした表情の虎と、睨みを効かせた龍の対比が印象的な双幅です。
水辺で戯れる虎の親子のユーモラスな表情が魅力的な作品。
西洋画の手法を取り入れた奥行きの表現から、まさに近代日本画という雰囲気が味わえます。
シンプルな画題ですが、水に映る月明りの表現が斬新で、刻々と移りゆく時の流れさえも感じさせます。
餌を待つ二羽の小鳥。何気ない日常の一コマを描いたほのぼのとした作品です。粘り気があり、扱いが難しい漆を巧みに使いこなす技術は流石です。
板の昆布と田作りを描いた珍品です。お正月掛けとしてもどうぞ。
うららかな春の陽気のなか、鳥たちの囀りが聴こえてくるかの様な、春爛漫の一幅です。南画家の春木南溟は花鳥画を得意としました。